PEN「クリエイターを探せ。」

Pen 2007 No.206 の「クリエイターを探せ。」のコーナーにミリメーターが掲載されています。
http://www.zassi.net/mag_index.php?id=183&issue=21685

 今年初めて開催された『リスボン建築トリエンナーレ』で、日本ブースのアート・ディレクションを担当したミリメーターの2人。折り畳むと「兜」になるユニークなポスターが、現地の新聞にも取り上げられ、注目を浴びた。日本の折り紙の、兜の折り方を海外の人に教えるうちに、コミュニケーションも生まれた。さらに、かぶった人が会場を回ってPR効果も生じた。
 こうした小さなことから全体に影響を及ぼしていくという手法は、ミリメーターの得意とするところ。「アーバンピクニック」シリーズは、都市を観察し、小さな出来事と視点の変換によって、都市を内側からデザインするという実験だ。たとえば、間取り柄のレジャーシート「マドリックス」は、屋外に敷くと、そこがあたかも部屋になるという作品である。
「大学生の時に、携帯電話が当たり前になったことの影響が大きいですね。電話というプライベートなモノを街に持ち出すことで、身近な空間が変容することを身をもって体験しました」と笠置秀紀さん。「ハードとしての建物より人の行為が作り出す空間の面白さに惹かれました」という宮口明子さん。コンビニのように街中にあって、生活を変えるシステムやサービスに興味があると話す。
 笠置さん曰く「デザインはリサーチであり冒険なのです」。「観察や実践を通して、都市における行為と空間の関係性を探っていきたいですね」と宮口さんが続ける。独自の視点で、都市、建築、プロダクト、アート・ディレクションと、さまざまに手がけるミリメーター。展覧会の会場構成など、フィールドは広がっている。上のポートレイトで写っているのは「OTR」(オン・ザ・ロック)という名の、FRPでできた偽岩の椅子。自然と人工、屋外と室内、デザインと非デザインという、相反するコンセプトを重ね合わせている。
 ユニット名の「ミリメーター」は、誰もがわかる一般的な最小の単位。「自分に身近なことを変えていくことで、都市全体を変えていく」という気持ちからつけた。
その可能性をとことん追求して欲しい。
TEXT:萩原 修(デザインディレクター)

株式会社 小さな都市計画